山野草の育て方
このページでは、一般的な山野草の育て方をお伝えします。
ただ、一概に言っても山野草と言っても、原産地も生態も様々。
このページの内容に当てはまらない植物も多く存在します。
詳しくは、ご購入の際に付属の説明書や、本、育て方の詳細の記載があるウェブページなどで調べると安心ですよ!
置き場所
朝には朝日が差し、お昼からは日陰になる(半日蔭)場所が理想的です。
植物によって日照不足に強いもの、日向を好むもの、様々ですが、基本的には半日蔭の場所がどんな植物でも生育しやすい。
植物は光合成のために日光が必要です。このため日照不足は葉が退色したり花がつかなくなったり、ひょろりと細長く枝が伸びたり(徒長)する原因になります。
一方で日の光が強すぎると、葉が日焼けを起こした状態となり(葉焼け)、葉が落ちて成長が阻害されたり、美しいグリーンが楽しめなくなったりします。
半日蔭の理想的な場所なんてないよ、もうほかの植物でいっぱい、という方もおられると思います。
そうした方は、疑似的に半日蔭の状態を生み出す工夫をしてあげましょう。
具体的には、遮光ネットや木陰などで日陰を作ってあげる、鉢植えにして、季節や時間帯によって適切な場所に動かしてあげる、室内の日照不足の場合、植物育成ライトで補光してあげる、など。
自分ができる範囲と植物が耐えられる範囲で工夫してみましょう。
その工夫が実った時、ガーデニングがとっても楽しくなります!
水やり
・庭植えの場合、極端に乾燥する場合を除き不要です。
・鉢植えの場合、土の表面が乾いたら鉢底から水が流れるまでたっぷりと与えます。盆栽鉢植えのような土の量の少ない管理をする場合、特に夏場の水切れにご注意ください。
・苔玉の場合、苔玉を置いた浅い器に水を溜めるなどして保水してください。お皿が乾いたら水をつぎ足します。この時、全体に水をかけるようにしてやると成長がよくなります。
・石付け盆栽の場合、石付け盆栽を置いたお皿に浅く水を張って管理し、できるだけ全体に水がかかるように(もしくは全体が水を含むように)たっぷりと水やりをしてください。ものによりますが、非常に水はけがよいため、水切れには十分注意してください。
※うっかり水切れさせてしまった場合、冷たい水で腰水して半日ほどおくと復活することがあります。
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用土
・水はけ、水もちのよいもの(山野草専用土、赤玉土・鹿沼土などの配合土など)
植物を植える場所が家なら、土は植物にとってのベッドです。しっかりとその植物に合った土を使うことで、植物を元気に育てることができます。
また、よく根腐れをさせてしまう、水切れをさせてしまうとお悩みを聞きますが、原因は土(+鉢)にあるかもしれません。
根腐れをさせてしまいやすい方には素焼き鉢、赤玉、鹿沼の混合土がおすすめ。
逆に水切れで枯らしてしまいやすい方には、陶器鉢、プラ鉢を試してみるのをおすすめします。(鉢が小さすぎて乾燥が早いことが原因のことも!)
なお、ホームセンターなどでよく売られている肥料分を含んだ土は、肥料焼けで山野草が枯れてしまう原因になるので使用はお勧めしません。
植物の特性だけでなく、自分の生活リズムに合わせて植え方を変えていけるといいですね!
〇赤玉土:通気性や水はけ、保水性のバランスに優れる。
〇鹿沼土:通気性や保水性に優れる。(酸性が強いため、通常、使用は3割ほどに留めましょう。)
〇素焼き鉢:通気性や排水性がよい。乾燥しやすい。
〇陶器・テラコッタ鉢:おしゃれでデザイン性が高いが、重く、通気性、排水性ともに素焼き鉢に劣る。
〇プラスチック鉢:軽くて苔やカビなどが生えづらく、室内管理に便利だが、通気性、排水性が悪いため根腐れしやすい。
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肥料
・肥料:効きの優しい有機肥料を施してください。
・時期:1・植え付け時の元肥として
2・花後のお礼肥えとして
(夏に差し掛かる場合は省略、もしくは液肥など、暑い時期まで効果が続かないものを使用してください)
3・冬の寒肥として2月頃に固形の緩効性肥料を施す
(液肥や化成肥料など、即効性の高いものは植物を痛める原因になりますのでご注意ください。)
山野草は、肥料分の少ない土地に自生しているものが多いため、たくさんの肥料は必要としません。
濃い肥料は、人間で言えば、普段は小食で野菜ばかり食べている人が突然お肉や揚げ物ばかりを食べさせられたのと同じ。当然、胸焼けして体調を崩しますよね。それは植物も同様で、それぞれに合った肥料の分量があります。
山野草にも使用できる肥料には、裏面に山野草への規定の分量が記載されています。たくさんあげても成長が良くなるわけではありません(むしろ枯れてしまうことも!)から、規定量を守って施肥してください。
なお、当店でも取り扱っている”バイオゴールドオリジナル”が店長オススメの最優秀肥料!
山野草から野菜まで使えて肥料害が出にくく、植物の成長を促進し、花付きをよくします。また、完熟肥料なので虫が発生することもなく、部屋でつかってもニオイが気にならない。
もし、なかなか花が咲かない、どの肥料を使えばいいか分からないなど、お悩みの際は、ぜひ試してみてください!
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病害虫
・薬剤の散布などで予防、防除する。
山野草は野辺に生える植物なので比較的病害虫は発生しにくいです。
しかし、アブラムシ、ナメクジなどの害虫、うどんこ病、黒星病など、他の園芸品種にも発生する病害虫と同様のものが発生します。
あらかじめ発生を予想される病害虫に対応した薬剤を散布するか、発生していないかをチェックして早期に対処しましょう。
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その他管理
・植え替え:鉢植えの場合、1〜2年程度に一度の植え替えが必要です。
植え替えをしなければ鉢の中に根が回り、根詰まりを起こします。根詰まりとは、人間で言えば窒息しているようなもの。水も栄養も酸素も吸収できなくなって、じきに株が弱って枯れてしまいます。
落葉樹なら冬季の休眠中に、常緑樹、多年草なら春に植え替えをして健康な株を維持しましょう。
大きく育てたい場合は一回り大きな鉢に植え替えます。
大きさを維持したい場合、樹木類は根の整理をして、草本類なら株分けをして、元の鉢に植え直すことができます。
・剪定:基本的には伸びすぎた部分、弱った部分をカットする以外に必要はありません。
(その他剪定の例)
〇夏前に蒸れを防止する透かし剪定を行う
〇花前、花後に花をカットして株を太らせる
〇盆栽、庭木など、樹形を整える(樹木類を強剪定する場合は、その植物に合った剪定時期に行いましょう)
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☆ワンポイント+ 自生地を知ろう
植物を育てる上で最も大切なのが自生地の様子を知ること。自生地の写真を一枚見れば、そこが日向なのか、日陰なのか、地面は湿っているか、乾燥しているか、様々な情報が手に入ります。
自生地の環境にできるだけ近づけてやることが、山野草をお手入れ要らずでぐんぐん育てていく近道です。
逆を言えば、手許の環境と育てたい植物が求める環境が遠ければ遠いほど、その植物を育てるのは難しい、ということ。
例えば最低温度15度程度が必要なコチョウランを育てるには、冬には加温が必要な方もいれば、暖かい地方に住んでいるから室内に取り込むだけで十分という方もいます。
窓辺が少なくて室内で植物を育てるのを諦める方もいれば、日中は留守でも植物のために育成ライトをつけっぱなしにしているという方もいます。
どうしても育てたい植物がある! でも手間をかけすぎて植物を育てるのがストレスになってしまっては本末転倒。
自分のかけられる手間と、植物の求める条件とのすり合わせが大切ですね!
ちなみに植物は、ある程度環境に適応してくれます。
植えた当初には夏の暑さで枯れそうだったけど、今年の夏は元気、だとか、小さな苗をすぐにお庭に植えてしまうと枯れてしまったけど、しばらく鉢で育てて大きくしてから植えたら無事に育ってくれた、とか。
自生地の環境に合わせてあげるのは大切なことですが、過保護にし過ぎるとちょっとのきっかけで枯れてしまうことも。
今の環境に少しずつ慣れさせていった方が強い株に育てることができます。
植物育てはトライアンドエラー。
なるべく枯らさずに育てていきたいと思うものですが、上手な人ほど過去にはよく枯らしているものです。
挑戦して、失敗しても工夫して再チャレンジ。
そうしてうまくいったときほど嬉しいことはありません。
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